2018年08月10日
今週の注目疾患 平成30年・31週(2018/7/30~2018/8/5 )
【風しん】
2018 年第 31 週に県内医療機関から 8 例の風しんの届出があった。
また、第 30 週分の遅れ報告が 1 例あり、第 27 週から続く県内における風しんの届出は、合わせて 23 例(第 1~31 週の累計は 26 例)となった。
第 27 週以降に届出られた 23 例の内訳は、男性 19 例、女性 4 例となっており、患者年齢は女性が 10、20 および 40 代、男性は 20~60 代の届出であった。
ワクチン接種歴は 2 回接種(1 例)、1 回接種(1 例)、無しもしくは不明(21 例)であった。
2017 年度の県内における風しんに対する抗体保有率の調査の結果から、35~54 歳の男性の 4 人に 1 人は赤血球凝集抑制(HI)法で測定した抗体価において抗体価〔8 倍未満〕と風しんウイルスに対する免疫を保有していなかった。
風しんの潜伏期間は 2~3 週間と長く、今後新たな患者発生の可能性があり、県内における風しん発生動向に最大限の注意が必要である。
風しんはワクチンで予防可能な疾患である。
定期接種(1 歳と小学校入学前 1 年間の 2 回)の機会において確実に接種を受けること、また成人においても風しんの罹患歴やワクチン接種歴がない場合は、抗体検査やワクチン接種が推奨される。
特に風しんは、妊娠 20 週頃までに免疫のない妊婦が風しんに罹患するとウイルスが胎児に感染し、出生児に先天性心疾患、難聴や白内障といった障害が引き起こされることがある。
風しんに罹患した場合、発疹出現後 1 週間はウイルスを排出するため、この間に妊婦との接触を避けることが重要である。
妊娠を希望される女性や抗体を保有しない妊婦の同居者、妊婦と接触する機会の多い医療従事者等で、予防接種を 2 回受けていない方や予防接種歴が不明な方は、かかりつけ医などに相談の上、抗体検査や予防接種の検討が望まれる。
千葉県健康福祉部疾病対策課 風しん患者が増加しています(8 月 2 日)
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【日本脳炎】
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスによって引き起こされる感染症であり、ヒトはブタ体内で増幅したウイルスを吸血した蚊に刺されることにより感染する。
日本脳炎はアジアに広く分布しており、日本では日本脳炎ワクチンの定期接種が開始されて患者数は著しく減少した。
しかし、毎年実施しているブタ血清中の日本脳炎ウイルス抗体保有状況から、近年も千葉県内で日本脳炎ウイルスの蔓延あるいは活動が推測され、感染の機会はなくなっていないことがわかっており、直近では 2015 年に日本脳炎の届出を 1 例認めている。
日本では主に水田で発生するコガタアカイエカが日本脳炎ウイルスを媒介している。
ウイルスに感染しても日本脳炎を発病するのは 100~1,000 人に 1 人程度であり、大多数は無症状に終わる。
しかし、発症すると 20~40%は死亡するといわれ、乳幼児や高齢者では死亡の危険が高い。
また生存者の 45~70%に精神神経学的後遺症が残り、小児では特に重度の障害を残すことが多い。
日本脳炎の特異的な治療法はなく、日本脳炎は症状が現れた時点ですでにウイルスが脳内に達し脳細胞を破壊しているため治療が難しい。
そのため、日本脳炎は予防が最も大切であり、定期接種において確実なワクチン接種が求められる。
現在、日本脳炎定期予防接種は、第 1 期(初回 2 回、追加 1 回)については生後 6 か月から 90 か月に至るまでの間にある者、第 2 期(1 回)については 9 歳以上 13 歳未満の者が接種の対象となっている。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年8月8日更新)