2017年07月07日
今週の注目疾患 平成29年・25週(6月26日~7月2日)
【手足口病】
手足口病は主に乳幼児を中心として夏季に流行するウイルス性感染症であり、口腔粘膜および手や足などに水疱性の発疹が出現する。原因となるウイルスは、コクサッキーウイルス A16(CA16)、コクサッキーウイルス A6(CA6)、コクサッキーウイルス A10(CA10)やエンテロウイルス 71(EV71)などが挙げられる。
感染後、3~5 日後に口腔内や手足に水疱性発疹が出現し、一般に予後良好で基本的には数日内で治癒し、不顕性感染もある。
しかし、まれに髄膜炎や脳炎といった中枢神経系の合併症を引き起こすことがあり、発熱や嘔吐、頭痛などがある場合は注意を要する。
EV71 による場合は中枢神経系合併症の発生頻度が他のウイルスによるものよりも高いことが知られている。
手足口病は感染症法において 5 類感染症の定点把握疾患(小児科定点)に分類され、その発生動向が調査されている。
近年の手足口病の報告は年によって大きく異なり、2011 年、2013 年、2015 年と隔年で流行を認めた。
また年により検出されたウイルスも異なり、2011 年は CA6 とCA16、2013 年は CA6 と EV71、2015 年は CA6 と CA16 が主であった。2017 年においては、千葉県内の第 26 週の定点当たり報告数は 1.64(人)となっており、報告は昨年同時期(2016 年第 26 週;定点当たり報告数 0.95(人))よりも多い(図 1)。
保健所別では、千葉市保健所(4.44人)、習志野保健所(3.10 人)、印旛保健所(3.00 人)が報告の上位 3 保健所となっており、また
16 保健所中 10 保健所で前週よりも報告が多くなっている(図 2)。
全国では特に西日本で報告が多く(第 25 週時点)、また 2017 年の現在までの検出ウイルスは CA6 が主となっている。
CA6 による手足口病の特徴として、CA16 や EV71 によるものよりも水疱が大きいことや、発症後数週間後に爪脱落が起こる症例が報告されている。
ただし、2017 年は CA16 や EV71 の検出も報告されており、これから本格的な流行のピークを迎え、患者数の報告とともに検出されるウイルスの動向にも注意が必要である。
手足口病の感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染であり、また回復後のウイルス排泄や、感染しても無症状のままウイルス排泄している場合もある。
予防策として、手指衛生の励行と排泄物の適切な処理、また水疱内容にはウイルスが含まれているので患者との濃厚接触を避け、遊
具を別にするといったことなどが挙げられる。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成29年6月28日更新)