2018年10月05日
今週の注目疾患 平成30年・39週(2018/9/24~2018/9/30)
【風しん】
2018年第39週に県内医療機関から17例の風しんの届出があり、2018年の累計は196例となった。
うち193例は第27週以降に届け出られた症例である。2週続けて週当たりの届出は減少したものの、引き続き多くの届出を認め、今後も最大限の注意が必要である。
第27週以降に届け出られた193例について、性別は男性163例(84.5%)、女性30例(15.5%)である。
男性は40代(61例)の届出が最も多く、次いで50代(44例)、30代(27例)、20 代(25例)と続く。女性は20代(14例)、50代(8例)が多い。
ワクチン接種歴は1回(9例)、2回(1例)、無し(45例)、不明(138例)であった。
先天性風しん症候群の発生防止のため、特に、妊娠を希望される女性や抗体を保有しない妊婦と同居されている方、妊婦と接触する機会の多い方(医療従事者等)で、予防接種を必要回数受けていない方は、かかりつけ医などに相談の上、抗体検査や予防接種を検討しましょう。
【ダニ媒介感染症:つつが虫病および日本紅斑熱】
ダニ媒介感染症であるつつが虫病と日本紅斑熱は、例年千葉県内医療機関からの報告を認める。
両疾患はともに発熱、ダニの刺し口、発疹を主要三徴候とし、その他頭痛や倦怠感といった症状、CRPの上昇や肝酵素(AST、ALT)の上昇といった検査所見が見られることが多い。
県内では春~秋に日本紅斑熱、秋~冬につつが虫病の発生が多く、両疾患の発生が重なるこの時期は鑑別が必要となる。
加えて、両疾患は県内では房総半島南部において発生が多い点で共通するが、つつが虫病は北総や東葛地域でも発生が見られる。
つつが虫病の潜伏期間は5~14日程度で、疑わしい患者においてはその間の行動歴の聞き取りが参考となり、また、つつが虫病はアジアに広く存在しているため、輸入感染症として探知されうることにも注意が必要である。
日本紅斑熱は、潜伏期間がつつが虫病に比べてやや短く、発疹は四肢から体幹に広がり、刺し口は小さいなどの臨床的な差はあるが、確実な鑑別には実験室診断が必須である。
両疾患とも治療の第一選択薬はテトラサイクリン系の抗菌薬であり、日本紅斑熱においてはニューキノロン系抗菌薬が有効であるとの報告もあるが、つつが虫病には無効である。
予防には、病原体を保有するマダニ、つつが虫に刺されないことが第一であり、農作業や山野などに入るときには皮膚を露出しないように長袖・長ズボンを着用し、ダニ忌避剤の適切な利用や、帰宅後の入浴・衣類の着替えといったことが推奨される。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年10月4日更新)