2017年10月27日
今週の注目疾患 平成29年・42週(10月16日~10月22日)
【ダニ媒介感染症;日本紅斑熱とつつが虫病】
2017 年第 42 週に日本紅斑熱の届出が 1 例あり、2017 年の累計は 9 例となっている(2016 年は年間 10 例)。
2013 年以降、千葉県内における日本紅斑熱は 4 月から 10 月にかけて発生しており、流行期はまもなく終わりとなることが期待される。
一方、同じダニ媒介感染症であるつつが虫病は、例年特に 11、12 月に多くの発生を認めており、今後その発生動向が注視される(図)。
両疾患はともに発熱、ダニの刺し口、発疹を主要三徴候とし、その他頭痛や倦怠感といった症状、CRPの上昇や肝酵素(AST、ALT)の上昇といった検査所見が見られることが多く、両疾患の発生が重なるこの時期は鑑別が必要となる。
加えて、両疾患は県内では房総半島南部において発生が多い点で共通するが、つつが虫は北総や東葛地域でも発生が見られる。
つつが虫病の潜伏期間は 5~14 日程度で、疑わしい患者においてはその間の行動歴の聞き取りが参考となり、また、つつが虫病はアジアに広く存在しているため、輸入感染症として探知されうることにも注意が必要である。
両疾患とも治療の第一選択薬はテトラサイクリン系の抗菌薬であり、日本紅斑熱においてはニューキノロン系抗菌薬が有効であるとの報告もあるが、つつが虫病には無効である。
予防には、病原体を保有するマダニ、つつが虫に刺されないことが第一であり、農作業や山野などに入るときには皮膚を露出しないように長袖・長ズボンを着用し、忌避剤(DEET)の適切な利用や、帰宅後の入浴・衣類の着替えといったことが推奨される。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成29年10月25日更新)