2021年01月08日

今週の注目疾患   2020年 52・53週(2020/12/28~2021/1/3)
【今週の注目疾患】

【インフルエンザ】
 2020年第53週に県内定点医療機関から報告されたインフルエンザの定点当たり報告数は定点当たり0.02(人)であった。
県内全16保健所管内(千葉市、船橋市及び柏市含む)において、定点当たり報告数1.0を下回っている。
発生は低調であるがゼロではないため、市中における一定のインフルエンザ感染者が示唆されるものの、全国的にもインフルエンザの流行の報告無く、年明けとなっている。
 新型コロナウイルス感染症対策に絡み、衛生管理や国外からの流入が抑止されているといった影響は今後も続くと考えられるが、インフルエンザ対策として、手指衛生、適度な湿度の保持や十分な休養、予防接種による発症・重症化予防、発症時の安静、早期の抗インフルエンザウイルス薬による治療やマスクの着用・咳エチケットによる周囲への感染伝播の抑制等、これらの総合的な実施が重要である。
 参考:引用
 厚生労働省:インフルエンザの発生状況について(令和2年第52週 令和3年1月7日)

【E型肝炎】
 2020年第52週および第53週に県内医療機関から各週に1例のE型肝炎の届出があり、2020年の累計は24例となった。
 季節性や地域性に大きな偏りなく届出を認めており、24例の年齢中央値は61.5歳(範囲41~80歳)、男性が22例と多くなっている。
先進国では非加熱や加熱不十分の豚肉や鹿肉の喫食歴を持つ人において遺伝子型G3によるE型肝炎の発生が散発的に報告されており、日本、中国ではその他にG4の検出も報告されている。
豚、猪や鹿からはG3及びG4のE型肝炎ウイルス遺伝子の検出例が報告されており、G3とG4は人獣共通感染症・食品由来感染症としての可能性が示唆されている。
A型肝炎でみられる性感染症としての感染経路はE型肝炎では認められていない。
 E型肝炎はE型肝炎ウイルスによるウイルス性の急性肝炎であり、潜伏期間が15~50日(平均6週間)と長く、発症すると発熱、全身倦怠感、食欲不振、嘔吐、腹痛、褐色尿、黄疸や関節痛などの症状が現れることがあり、A型肝炎に似た臨床症状を示す。
ただし、感染しても不顕性に終わることも多い。
感染性のある期間を明確に定めることは困難であるが、実験ではウイルスの便中への排泄が症状出現の1週間前から黄疸出現後30日まで認めたとの報告もある。
E型肝炎は、妊婦において劇症肝炎の割合が高く、特に第3三半期の妊婦においては致命率が20%に達することがある。
E型肝炎の予防のため、猪、鹿などの野生動物の肉や豚肉などは、中まで十分に加熱して喫食することが大切である。
妊婦では致命的になる割合が高く、また免疫抑制にある人は慢性化する場合があり、十分に注意が必要である。
 参考・引用
 国立感染症研究所:E 型肝炎とは
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【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年1月7日更新)