2021年 第 50 週 ~梅毒~

今週の注目疾患  
2021年 50週(2021/12/13~2021/12/19)
【今週の注目疾患】

≪梅毒≫
 2021 年第 50 週に県内医療機関から 8 例の報告があり、梅毒の 2021 年の累計報告数は 219 例となった。
第 40 週(10 月 10 日)の時点で、1999 年の現行感染症サーベイランス開始以降、最多であった 2018 年の 164 例を超え、その後も最多更新を続けている。

 本年報告された 219 例のうち、性別では男性 147 例(67%)、女性 72 例(33%)で、男性が多い。
年代別では、男女ともに 20 代~40 代の患者が 7 割以上と多く認められたが、男性は 40 代が40 例(27%)と最も多く、次いで 20 代が 35 例(24%)、30 代が 32 例(22%)であった。
一方、女性は 20 代が 37 例(51%)と半数以上を占めており、次いで 30 代が 11 例(15%)であったが、男性で最も多かった 40 代は 8 例(11%)にとどまった。
10 代は 7 例(10%)で男性 3例(2%)より多い傾向がみられた。
なお、2021 年においては、これまでのところ先天梅毒の症例は報告されていないが、10代~30 代の女性に 7 例(10%)の梅毒妊娠症例が報告されている。

 病型別では、男性は早期顕症梅毒第Ⅰ期(以下、第Ⅰ期)が 63 例(43%)と最も多く、次いで早期顕症梅毒第Ⅱ期(以下、第Ⅱ期)が50 例(34%)であった。
一方、女性は第Ⅱ期が 30 例(42%)、無症状病原体保有者が 30 例(42%)であり、第Ⅰ期で発見された患者は 9 例(13%)にとどまった。

 梅毒は梅毒トレポネーマを原因とする細菌感染症である。
主な感染経路は菌を排出している感染者との性器や肛門、口腔などの粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものである。
予防としては、感染者との性行為や疑似性行為を避けることが基本となる。
感染後 3~6 週間程度の潜伏期を経て、経時的に様々な臨床症状が逐次出現する。
その間症状が軽快する時期があり、治療開始が遅れることにつながる1)。
梅毒の治療には早期発見・早期治療が重要であり、男女ともに積極的に検査をうけることが推奨される。
県では、無料で匿名の検査を受けることができる2)。

 妊婦が感染すると梅毒トレポネーマは胎盤を通じて胎児に感染し、流産、死産、先天梅毒を起こす可能性がある3)。
妊婦梅毒感染の 3 割が子宮内胎児死亡、死産または分娩直後の死亡を起こすと言われており、女性の梅毒感染が先天梅毒児の数から想定されるよりもはるかに大きな公衆衛生上の影響を及ぼしている懸念がある4)。

 先天梅毒には早期先天梅毒と晩期先天梅毒がある。
早期先天梅毒の発症年齢は、生下時から生後 3 カ月頃で、出生時は無症状で身体所見は正常な児が約 3 分の 2 とされる。
生後まもなく水泡性発疹、斑状発疹、丘疹状の皮膚病変に加え、鼻閉、全身性リンパ節腫脹、肝脾腫、骨軟骨炎などの症状が認められる。
晩期先天梅毒は、乳幼児期は症状を示さずに経過し、学童期以後にHutchinson3 徴候と呼ばれる実質性角膜炎、内耳性難聴、Hutchinson 歯を呈する1)。

 先天梅毒を予防するには、梅毒スクリーニング検査を含む妊婦健診の推進が基本となる。
また、検査後に感染する可能性もあることから、妊娠中に少しでも心当たりや疑わしい症状、不安なことがあれば積極的に梅毒検査を受けることも重要である3)。
また、梅毒の妊娠症例は 20 代後半から 30 代前半の女性で、性風俗産業利用歴・従事歴がない症例も多く、感染源が男性パートナーである可能性が示唆されている4)。

■参考
1)国立感染症研究所:梅毒とは
>>詳細はこちら
2)千葉県:梅毒の検査情報(千葉県内のエイズ等相談・検査)
>>詳細はこちら
3)国立感染症研究所:2021 年第 47 号<注目すべき感染症>梅毒
>>詳細はこちら
4)国立感染症研究所:感染症発生動向調査における梅毒妊娠症例 2019 年第 1~3 四半期
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年12月22日更新)

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