2023年01月27日

2023年 第3週
(令和5年1月16日~令和5年1月22日)

【今週の注目疾患】
■つつが虫病
 2023 年第 3 週に県内医療機関からつつが虫病の届出が 2 例あり、2023 年の年間累計報告数は7 例となった。
 2022 年第 46 週(11 月中旬)から毎週患者が報告されている。
県内のつつが虫病の発生動向には季節性が見られており、例年第 44 週頃(10 月下旬~11 月上旬頃)から翌年第 6 週頃(1 月下旬~2 月上旬頃)にかけて報告が多く見られる。
報告数は減少傾向となっているが、農作業をしたり、草むらや山野に立ち入るなどダニの生息場所で行動する際には、引き続き感染対策を十分に行う必要がある。

 2022/2023 シーズンのつつが虫病の報告数は2023 年第 3 週時点で 64 例となった。
そのうち、推定される感染の状況として具体的な記述があったものは 15 例であった。
自宅及びその周辺における草取りや散歩が 6 例(40%)、農作業関連が 5 例(33%)、いのしし確保作業や山林伐採など山野に関わる作業が 3 例(20%)、キャンプ等のレジャーが 1 例(7%)であった。

 つつが虫病は、病原体 Orientia tsutsugamushi を保有するツツガムシがヒトを刺咬・吸着して感染する。
5~14 日の潜伏期間を経て、頭痛、関節痛などをともなって突然の発熱をもって発症する。
発疹は体幹から四肢に広がる傾向があり、ツツガムシに刺された部位に特徴的な直径 1cm程度の黒色痂疲を高率に見出す国内常在のダニ媒介のリケッチア感染症である。
臨床的には、マダニによる日本紅斑熱との鑑別が難しく、届出には実験室診断での鑑別、確定が必要となる 1)。
 ツツガムシは野山に生息しているダニ類で、幼虫期の体長が 0.2~0.3mm であり、肉眼で確認することは難しい小さなダニである。
主な患者の発生地域は千葉県南部であるが、北部地域等でも患者の発生は見られるため、県内全域で注意が必要である 2)。
 本症の予防に利用可能なワクチンはなく、ダニの刺咬を防ぐことが最も重要となる。
具体的には、農作業や山野などに入る時には長袖・長ズボンを着用して肌の露出を少なくすること、ダニ忌避剤を適切に使用すること、休憩する時は、地面に直接座らずレジャーシート等を敷いて座ること、帰宅したらすぐに着替え、着ていた服を洗濯することなどが感染対策となる。
また、疑わしい症状等があった場合には、早期に医療機関を受診することが重要である 2,3)。

■インフルエンザ
 2023 年第 3 週の県全体のインフルエンザ定点当たり報告数は、前週(2023 年第 2 週)の 6.55(人)から増加して 8.53(人)となった。
保健所管内別では習志野 12.63(人)、松戸 11.42 (人)、印旛 11.42(人)、船橋市 11.18(人)、市原 10.82(人)で国が定める注意報の基準値(定点当たり報告数 10.0 人)を上回った。

 2023 年第 3 週に報告のあった 1783 例のうち、A 型 1549 例(86.9%)、B 型 5 例(0.3%)、A型と B 型ともに陽性 2 例(0.1%)、型非鑑別キットで陽性 142 例(8.0 %)、検査未実施(検査実施未確認例含む)85 例(4.8%)であり、A 型が多かった。
 2023 年第 2 週時点で全国の定点当たり報告数は 7.37(人)であった。
近隣都県の定点当たり報告数は、埼玉県 5.01(人)、東京都 5.32(人)、神奈川県 5.63(人)であった。
インフルエンザの予防のため、ワクチン接種と引き続き基本的な感染対策の徹底を心がけていただきたい 4)。
・基本的な感染対策
1 外出後の手洗い
2 適度な湿度の保持
3 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
4 人混みや繁華街への外出を控える
5 室内ではこまめに換気する
6 咳エチケット

■参考
1)国立感染症研究所:IASR Vol.43 No.8 つつが虫病
>>詳細はこちら
2)千葉県衛生研究所:つつが虫病に注意!
>>詳細はこちら
3)千葉県:ダニ媒介感染症について
>>詳細はこちら
4)千葉県:インフルエンザから身を守ろう
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年1月25日更新)