2022年 第 19 週 ~梅毒、RS ウイルス感染症~

2022年05月20日

2022年 第 19 週(2022/5/9~2022/5/15)

【今週の注目疾患】
■梅毒
 2022 年第 19 週に県内の医療機関より梅毒の報告が 7 例あり、2022 年の累積届出数は 96 例となった。
1999 年の現行感染症サーベイランス開始以降、最多を記録した昨年の同時期を上回る届出数(2021 年第 19 週累積届出数 81 例)であり、本年も増加傾向が続いている。
 性別では男性 70 例(73%)、女性 26 例(27%)であった。
年齢別では、男性は 40 代 26 例(26/70,37%)、50 代 20 例(20/70,29%)が多く、次いで 30 代 13 例(13/70,19%)であった。
女性では 20 代が 16 例(16/26,62%)で最も多く報告されていた。
病型別では、男性は早期顕症梅毒第Ⅰ期(以下、第Ⅰ期)が 49 例(49/70,70%)と最も多かったが、女性では早期顕症梅毒第Ⅱ期(以下、第Ⅱ期)が 12 例(12/26,46%)、無症状病原体保有者が 8 例(8/26,31%)と多く報告されていた。

 梅毒は、梅毒トレポネーマを原因とする細菌感染症である。
主な感染経路は菌を排出している感染者との性器や肛門、口腔などの粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものである。
予防としては、感染者との性行為や疑似性行為を避けることが基本となる。
コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、コンドームの使用は完全ではないものの予防効果があることが示唆されている1)、2)。
治療は早期発見・早期治療が重要である。
再感染を予防するため、パートナーもともに検査を受けることが推奨される。
県では保健所において無料・匿名の検査を実施しているとともに、ちば県民保健予防財団への委託による検査を実施している。
受検を希望する方は活用されたい。なお、最新の検査実施状況については、県ホームページ等でご確認いただきたい3)。

 梅毒は、感染後 3~6 週間の潜伏期間を経て、継時的に様々な臨床症状が逐次出現する。
【第Ⅰ期】
感染約 3 週間後に梅毒トレポネーマの感染部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)に、しこりが形成されることがある。
無治療でも数週間で軽快する。
感染した可能性がある場合には、この時期に梅毒の検査が勧められる。
【第Ⅱ期】
第Ⅰ期の症状消失後、4~10 週間の潜伏期間を経て、病原体が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹がでることがある(バラ疹)。
そのほか、脱毛、発熱・倦怠感の全身症状等多彩な症状を呈する。
無治療でも数週間で軽快するが、この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器に障害がおこることがある。
【潜伏梅毒】(無症状病原体保有者)
梅毒血清反応陽性で顕性症状が認められないものをさし、第Ⅰ期と第Ⅱ期の間、第Ⅱ期の症状消失後の状態を主にいう。
第Ⅱ期の症状が消失後、再度第Ⅱ期の症状を示すことがあり、これは感染成立後 1 年以内に起こることから、早期潜伏梅毒と呼ぶ。
これに対して、感染成立後 1 年以上たつ血清梅毒反応陽性で無症状の状態を後期潜伏梅毒と呼ぶ。
【晩期顕症梅毒】
無治療で経過した者のうち、約 3 分の 1 で起こる。
ゴム腫、進行性の大動脈拡張を主体とする心血管梅毒、進行麻痺に代表される神経梅毒に進展する。
場合によっては死に至る。

【先天梅毒】
梅毒に罹患している母体から胎盤を通じて胎児に伝播される多臓器感染症であり、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがある1)、2)。

 2022 年は現時点で、梅毒の妊娠症例や先天梅毒の症例は報告されていないが、5 歳未満の症例が報告されている。
梅毒の流行期においては、初期の梅毒スクリーニング検査では陰性であっても、妊娠中に感染する妊婦が報告されている4)。
妊婦梅毒感染の 3 割が子宮内胎児死亡、死産または分娩直後の死亡を起こすと言われており、女性の梅毒感染が先天梅毒児の数から想定されるよりもはるかに大きな公衆衛生上の影響を及ぼしている懸念がある5)。
 梅毒の母子感染予防のためには、妊娠中の性感染症の予防、定期的な妊婦健診の受診が重要となる4)。
また、梅毒の妊娠症例は 20 代後半から 30 代前半の女性で、性風俗産業利用歴・従事歴がない症例も多く、感染源が男性パートナーである可能性が示唆されている5)。
男性パートナーについても、積極的に検査を受け、早期発見に努めることが推奨される。
県では、無料で匿名の検査を受けることができる3)。

■RS ウイルス感染症
 RS ウイルス感染症について、2022 年第 19 週に船橋市保健所管内の定点医療機関から 4 例報告があり、定点当たり報告数は 0.01 人から0.03 人に増加した。
全て 2 歳の症例である。
当該疾患は県内では例年夏から秋頃にかけて流行が見られていたが、昨年は第 20 週頃(5 月下旬頃)から急激に患者報告数が増加し、過去最多の流行を記録した。
今年度は全国的にまだ流行は見られていないが、本県においても今後の発生動向は十分注視していく必要がある。

■参考
1)国立感染症研究所:梅毒とは
>>詳細はこちら
2)厚生労働省:梅毒に関する Q&A
>>詳細はこちら
3)千葉県:梅毒が増えています
>>詳細はこちら
4)国立感染症研究所:先天梅毒児の臨床像および母親の背景情報に関する研究報告
>>詳細はこちら
5)国立感染症研究所:感染症発生動向調査における梅毒妊娠症例 2019 年第 1~3 四半期
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年5月18日更新)

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