2022年 第 24 週 ~腸管出血性大腸菌感染症~

2022年06月24日

2022年 第 24 週(2022/6/13~2022/6/19)

【今週の注目疾患】
■腸管出血性大腸菌感染症
 2022 年第 24 週に県内医療機関より 3 例の腸管出血性大腸菌感染症の届出があり、本年の累計は 34 例となった。
県内では、20 週から報告数が増加し、過去 5 年間で 2 番目に多い累計数となった。
 全国的にも 19 週から増加傾向(1 週間あたりの報告数 18 週 16 例→19 週 60 例、21 週 87 例、23 週 62 例)が見られており、感染対策により一層の注意が必要である。

 性別では女性 25 例(73.5%)、男性 9 例(26.5%)で女性が多い。
年代別では 20 代が 9 例(26.5%)と最も多く、30 代 7 例(20.6%)と続く。
類型別では、患者 21 例(61.8%)、無症状病原体保有者 13 例(38.2%)であった。血清群別・VT 型別では O157・VT1VT2 が 14 例(40.0%)で最も多く、次いで O157・VT2 が 3 例(8.6%)であった。
本年はこれまでのところ、溶血性尿毒症症候群(HUS)の報告はない。

 推定される感染経路・原因の記載があったものは 10 例であり、食物等からの感染 9 例(90%)、動物からの感染 1 例(10%)であった。
食物等からの感染の原因食品は、焼き肉、ハンバーグ、寿司などであった。

 腸管出血性大腸菌感染症の原因菌はベロ毒素(VT)を産生する大腸菌である。
人を発症させる菌数はわずか 50 個程度と考えられている。
少ない菌数で感染が成立するため、人から人への二次感染が起きやすい。
腸管出血性大腸菌は強い酸抵抗性を示し、胃酸のなかでも生存する1)。

 腸管出血性大腸菌は、家畜などの腸管内に生息しており、感染経路は糞便に汚染された食品や手指などを介した経口感染である。
 症状は無症候性から軽度の下痢、激しい腹痛、頻回の水様便、さらに著しい血便とともに重篤な合併症を起こし死に至るものまで様々である。
多くの場合、3~5 日間の潜伏期を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様便の後に血便となる。
発熱は軽度で 37℃台である。血便の初期には血液の混入は少量であるが、次第に増加し、典型例では便成分の少ない血液そのものという状態になる。
有症者の 6~7%において、下痢などの初発症状発現の数日から 2 週間以内に溶血性尿毒症症候群(HUS)または脳症などの重篤な合併症が発生する。
HUS を発症した患者の致死率は 1~5%とされている1)。

 予防の方法として、食品を介した経口感染(食べ物から人への感染)に対しては、食肉類は中心部までよく加熱すること(中心部が75℃1 分間以上の加熱)、生肉を触った後の手指、調理器具はよく洗浄して消毒する、まな板等の調理器具は用途別に使い分ける、生肉を取り分ける箸(トング)と焼きあがった肉を食べる箸(トング)を使い分ける、加熱しないで食べる野菜や果物は、十分に洗浄の上、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌することが重要である2)。
 手指を介した経口感染(人から人への感染)に対しては、手洗いが最も重要である。
排便後や食事前はもちろんのこと、特に下痢をしている乳幼児や高齢者の世話をする際には、使い捨て手袋を用い、作業後には石けんと流水でよく手を洗う。
腸管出血性大腸菌は、少量の菌数で感染が成立するので、乳幼児や高齢者が集団生活を行う場合や家庭内などでは二次感染の防止が重要である3)。

■参考
1)国立感染症研究所:腸管出血性大腸菌感染症とは
>>詳細はこちら
2)千葉県:腸管出血性大腸菌について
>>詳細はこちら
3)厚生労働省:一次、二次医療機関のための腸管出血性大腸菌(O157 等)感染症治療の手引き(改訂版)
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年6月22日更新)

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