2018年03月16日

今週の注目疾患   平成30年・10週(平成30年3月5日~平成30年3月11日)

【劇症型溶血性レンサ球菌感染症】
2018 年は第 10 週までに 12 例の劇症型溶血性レンサ球菌感染症の届出があり、過去同時期と比較し届出が多い。
性別は男性 7 例、女性 5 例であり、年齢群別は 10 代 1 例、40 代 1 例、50 代 1 例、60 代 3 例、70 代 3 例、80 代 3 例であった。
分離株の血清群は A 群 7 例、G 群 3 例、未記載 2 例であった。
症状はショック(届出に必須)に加え、肝不全 2 例、腎不全 7 例、急性呼吸器窮迫症候群 3 例、DIC8 例、軟部組織炎 7 例、中枢神経症状 3 例となっている(重複あり)。

【ブルセラ症】
2018 年第 10 週に県内医療機関から 1 例のブルセラ症の届出があった。
本邦におけるブルセラ感染症は、ヒトでは感染症法に基づく四類感染症「ブルセラ症」に分類され、家畜では家畜伝染病予防法の家畜伝染病「ブルセラ病」に指定され対策が取られている。
感染症法においては Brucella abortus、B. suis、B. melitensis、及び B. canis によるものを「ブルセラ症」とし、1999 年 4 月以降、全国で 41 例の届出を認めている。
なお、ブルセラ属菌について、分類学上は B. melitensis 1 菌種とされるが、病原性の違いなど 1 菌種表記には問題も指摘されており、従来の菌種名が主に使用されている。
ブルセラ感染症は人獣共通感染症であり世界中で発生を認めるが、家畜のブルセラ感染症が多い地域にヒトの患者も多い。
感染家畜の乳や乳製品の喫食が最も重要な感染経路であり、感染動物やその死体・流産時の汚物との接触や汚染エアロゾルの吸入でも感染する。
潜伏期は1~3週間、時に数ヶ月となる。症状は発熱、全身的な倦怠感、疼痛、悪寒、発汗などのインフルエンザ様であり慢性的である。
合併症は、骨・関節に最もよく見られるが、他にも、胃腸、肺、中枢神経系、心血管系などの症状を示すことがある。
ヒトでの病原性は、高い順に、B. melitensis(自然宿主はヤギ、ヒツジ)、B. suis(ブタ)、 B. abortus(ウシ)、B. canis(イヌ)となっているが、家畜のブルセラ菌(B. melitensis、B. suis、 B. abortus)については日本では動物の輸入検疫含め家畜対策が進み清浄化しており、日本で家畜からこれらの家畜のブルセラ菌に感染する
ことはないと考えられる。
ただし、流行国への渡航者やそれらの地域からの訪問者の輸入感染症には注意が必要であり、流行地域への旅行者は現地で加熱不十分な乳や乳製品、肉の喫食を避けることが重要である。
国内感染例の多くはB. canisと推察されるが、B. canisはヒトに感染しにくい、感染しても不顕性感染が多い、発症しても軽微であるといわれている。
感染した犬の流産時の汚物に接触する可能性のある獣医師や動物取扱者においては注意が必要である。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年3月14日更新)