結核対策

 

結核とはどのような病気ですか?

 結核は、結核菌という細菌が体の中に入ることによって起こる病気であり、毎年約16,000人の方が新たに発症しているわが国の主要な感染症の一つです。
 結核菌は主に肺の内部で増えるため、咳、痰、発熱、呼吸困難等、風邪のような症状を呈することが多いですが、肺以外の臓器が冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります。
 特に、高齢者では結核を発症しても、症状が軽症のまま経過することがあり、また、小児では症状が現れにくく、全身に及ぶ重篤な結核につながりやすいため、注意が必要です。

結核はどのような場合に感染するのですか?

 結核は、肺結核の患者さんの咳やくしゃみなどによって、空気中に結核菌が飛び散り、その結核菌を吸いこむことにより感染します。
 人が生まれてはじめて結核菌を吸い込んだ場合、10~15%の人はその後1、2年のうちに発症しますが、それ以外の人の場合、菌は冬眠状態となり、体内に留まることになります。
 発症しなかった場合でも、加齢などで身体の抵抗力が落ちると、潜んでいた結核菌が活動を始め、結核を発症します(発症するのは、菌が体内に留まったケースの10~15%程度と言われています)。
 結核は人から人へ感染するため、人口密度の高い大都市で罹患率が高い傾向にあります。また、近年は結核患者の高齢化が進行しており、新たに結核患者として登録される方のうち、80歳以上の方の割合は約4割に上っています。これは、かつて結核がまん延していた時期に結核に感染したが発症はせず、現在、高齢となって発症する方(既感染発病者)が多いためと考えられます。
さらに、外国生まれの結核患者数も近年増加しており、特に若年層で増加傾向が目立ちます。

 

結核の予防

普段の心がけ

 普段から適度な運動、十分な睡眠、バランスのとれた食生活、タバコを吸わないなど、抵抗力を高めておくことが重要です。

 

予防接種

 抵抗力の弱い赤ちゃんは、結核に感染すると重症になりやすく、予防のためにはBCG接種が有効です。日本の定期の予防接種では、生後1歳未満(標準的な接種は生後5か月から8か月の間)の小児にBCGの予防接種が行われています。市町村からの案内に従って遅くとも1歳未満に接種しましょう。

 

コラム
BCGとは?

 

結核に感染してしまったら

 現代では、結核は治療して治すことが可能です。咳や痰が2週間以上続く、特に高齢者については、倦怠感(体のだるさ)が続く、急にやせるなどの症状がある場合は、結核かもしれません。また、結核を発症しても、咳、発熱、寝汗、体重減少などの症状は数ヶ月間、軽症のまま経過することもあります。他の人に結核をうつさないようにするためにも、早めに医療機関を受診することや、症状が出にくい高齢者(特に80歳以上)は、年に1回は胸のレントゲン検査を受けることが重要です。
 また、治療を開始した後、症状が消えたからといって、治療の途中で服薬を止めてしまうと結核は完治しません。それどころか菌が抵抗力をつけ、薬が全く効かない多剤耐性菌になり、治療が非常に難しくなることがあります。医師の指示を守って、治療完了まできちんと薬を飲み続けることが最も重要です。